- なぜNIPTは医療保険や医療費控除の対象外なのか?
- 費用を安く抑える5つの方法
- 妊娠中に医療費控除や医療保険を活用できる他の費用とは?
新型出生前診断(NIPT)の検査費用が高額であるため、「医療保険」や「医療費控除」を活用して負担を軽減したい人が多いです。しかし、残念ながらNIPTは医療保険も医療費控除もどちらも利用することができません。
医療保険や医療費控除は基本的に「治療」を目的とした医療行為にのみ適用されるため、検査目的のNIPTは対象外となります。
しかし、制度の制約がある中でも、NIPTを賢く、できるだけ費用を抑えて受ける方法はあります。
本記事では、NIPTをお得に受ける方法を紹介し、少しでも負担を減らしてNIPTが受けられるようにお手伝いします。
- 費用が安い施設を選ぶ
- 検査項目の内訳を確認する
- 検査項目を絞る
- 交通費を考慮して施設を選ぶ
- クレジットカードでポイントを貯める
お住まいの地域のNIPT施設情報を調べるならこちらの記事がおすすめです。
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NIPTとは母体の血液だけでわかる出生前診断
NIPT(新型出生前診断)は、妊婦さんの血液を採取し、胎児の染色体異常を調べる検査です。この検査では、母体血液中に含まれる胎児由来のDNAを解析し、13、18、21トリソミー(染色体の数的異常)を高精度で調べます。
NIPTの陰性の正確性は99.99%です
NIPTと他の出生前診断との違い
NIPTは、他の出生前診断方法といくつかの重要な違いがあります。
NIPT | 母体血清マーカー | 羊水検査 | |
---|---|---|---|
検査方法 | 妊婦の採血 | 妊婦の採血 | お腹に針を刺す |
検査週数 | 妊娠6~22週 | 妊娠11~13週 | 妊娠15週~ |
検査精度 | 99.1% | 75~80% | 100% |
流産のリスク | なし | なし | 0.3% |
料金 | 10~20万 | 1~3万 | 10~20万 |
- 母体血清マーカー検査との違い
母体血清マーカー検査はホルモンやタンパク質の量を基にリスクを推定しますが、検査精度が70~80%と低く、陽性・陰性の確定診断には不向きです。それに対し、NIPTは検査精度が高く、約99%の精度で染色体異常を調べます。 - 羊水検査との違い
羊水検査は、胎児の染色体や遺伝子の異常を調べるために母体の羊水を採取しますが、針を使うため流産のリスクが0.3%程度あります。一方、NIPTは妊婦さんの血液を採取するだけなので、流産リスクがありません。
検査精度&安全性が高いのでNIPTはおすすめの出生前診断です
NIPTが高額になる理由
NIPTの検査費用は、1回あたり10万~20万円程度と高額です。NIPTが高額な理由として以下の要因があります:
- 高度な技術:胎児DNA解析には最新設備や高度な技術が必要
- 保険適用外:日本国内ではNIPTは任意検査に該当し、健康保険が適用されない
- 施設間の価格差:価格競争の多い都市部では施設間で費用差が大きい
NIPTが高額だからこそ、安く受ける工夫が大切です
NIPTは医療保険適用されない
NIPTの費用を抑えたいと考える妊婦さんは「健康保険は適用されるのか?」と疑問に思うかもしれません。しかし、結論としてはNIPTに健康保険は適用されません。
NIPTは治療が目的ではないため保険適用されない
NIPTが健康保険の対象外とされるには、以下の理由があります。
- 先進医療の位置づけ
NIPTは高度な技術を用いた先進的な検査であるため、一般的な医療行為と異なる。 - 任意の検査
NIPTは医師の強い勧めがなくても希望すれば受けられる「選択的検査」に該当する。
健康保険が適用される条件は治療目的
日本の健康保険は、原則として「病気やケガの治療を目的とした医療行為」に適用されます。例えば、入院治療や手術、薬の処方などがその対象です。しかし、NIPTは診断やスクリーニング検査であり、病気の治療ではないため、健康保険の適用外となります。
特にNIPTは、妊娠中の胎児の健康状態を確認する「予防的・選択的な検査」として位置づけられているため、全額自費負担で受ける必要があります。
NIPTは医療費控除の対象にならない
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額(通常は総所得金額等の5%または10万円のいずれか少ない額)を超える場合に、超過分を所得から控除できる仕組みです。この制度により、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
NIPTが医療費控除の対象外になる理由
結論から言うと、NIPTは医療費控除の対象にはなりません。その理由は以下の通りです。
- 治療を目的としない検査であるため
NIPTは赤ちゃんの染色体異常を調べる「診断」が目的で、治療行為ではない - 予防的・任意検査の性質
NIPTは、妊婦さんが希望すれば受けられる「任意検査」 - 健康保険が適用されない検査であること
医療費控除対象の多くは、健康保険が適用される医療行為であり、NIPTは保険外診療であり、この点でも控除の範囲外となります。
医療費控除が使える妊娠関連費用
医療費控除の対象となるのは、病気やケガの治療を目的とした医療費や、治療に伴う交通費などです。妊娠・出産で対象になる医療費控除と対象にならない医療費控除を下記にまとめたので参考にしてください。
NIPTを安く受ける方法5選
NIPTは健康保険も医療費控除も使えないため、費用を節約するには自己負担額を抑える工夫が必要です。NIPTの費用を安くする具体的な5つの方法を紹介します。
費用が安い施設を選ぶ
NIPTを実施する施設は全国に多数ありますが、施設によって検査費用は大きく異なります。一部の施設では10万円以下で検査を受けられる場合もありますが、平均的には15万~20万円が相場です。
検査費用の内訳も大切です
NIPTは以下の費用が必要になります。
- NIPT検査料:10~15万円
- 検査前カウンセリング料 :5千~1万0円
- 検査後カウンセリング料:5千円
- 陽性の場合の羊水検査料:10~15万円
施設によっては、カウンセリング料や羊水検査料が無料の場合もあるため、すべての費用を含めた総額で比較することが大切です。
地域ごとの価格差をチェック
都市部では競争が激しいため比較的安い施設もありますが、地方では選択肢が少ない場合があります。可能であれば、近隣都市まで足を伸ばして検討してみましょう。
都道府県別にNIPT施設の料金や診療日、検査項目をまとめた下記の記事が参考になります。
検査項目を減らす
NIPTでは、基本検査(13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー)に加え、追加項目として全染色体検査や微細欠失検査を選択できる施設があります。
ミネルバ | ラジュボー | DNA先端医療 | 平石 | |
---|---|---|---|---|
基本検査+ 性染色体 | 176,000円 | 132,000円 | 198,000円 | 198,000円 |
すべての染色体 | 165,000円 | 232,000円 | 232,000円 | |
すべての染色体 +微小欠失 | 187,000円 | 253,000円 | 253,000円 | |
すべての染色体 +微小欠失 +部分重複 | 円 | 275,000|||
父由来の因子 【オプション】 | 円 | +176,000|||
両親由来の因子 【オプション】 | 円 | +121,000|||
公式HP | 予約する | 予約する | 予約する | 予約する |
検査項目を増やすと安心感も増えますが、費用も高くなります。
どこまで調べると不安が減るかご夫婦で相談してみてください。
検査項目に悩む場合は、上記のNIPT施設はすべて無料の遺伝カウンセリングが受けられるので、まずは無料相談してみましょう。
アクセスしやすい施設を選ぶ
検査費用だけでなく、施設までの交通費や移動時間も費用節約の観点で重要なポイントです。遠方の施設を選ぶと、交通費や宿泊費がかさむことがあります。
クレジットカードの利用
クレジットカードで検査費用を支払うことで、ポイントを貯めたり、分割払いを選択できる場合があります。ただし、分割払いを選ぶ場合は手数料を確認しましょう。
妊娠・出産に関連する助成制度の確認と活用
妊娠・出産に関連する助成制度を活用することで、NIPTに間接的に役立つ資金を確保できます。
1. 出産育児一時金の利用
健康保険に加入している方は、50万円の出産育児一時金が支給されます。通常は出産する病院に出産費用として直接支払う直接支払制度を使う人が多いです。しかし、直接支払制度を使わず病院の支払いをクレジットカードで払い、ポイント分をお得にする方法もあります。出産費用は50万以上することもあるので、ポイントが1%加算されると5,000円分お得になりますね。
2. 医療費助成制度
自治体によっては、妊婦健診や医療費に対する補助金制度を設けている場合があります。例えば、妊婦健診補助券が提供されている地域では、他の医療費に回せる余裕が生まれることがあります。
3. 高額療養費制度の活用
妊娠中に入院や治療が必要となり、高額な医療費がかかった場合は、高額療養費制度を利用できます。これにより、医療費の一部が払い戻されるため、NIPT以外の費用負担が軽減されます。
医療費控除のやりかた
計算方法
医療費控除するといくら返ってくるの?
還付金は医療費控除額×所得税率で計算します
医療費控除で返ってくるお金(還付金)は次のステップで計算します。
医療費控除額 = 支払った医療費 – 保険金などで補填された金額 – 10万円(または所得金額の5%のどちらか低い方)
- 分娩費用や交通費など支払った医療費:80万円
- 出産育児一時金で支給された金額:50万円
上記の場合は、医療費控除額 = 80万 – 50万 – 10万円= 20万円
課税所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円 | 5% | 0円 |
195~330万円 | 10% | 97,500円 |
330~695万円 | % 20 | 円 427,500 |
695~900万円 | 23% | 636,000円 |
900~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
- 年収が400万円の場合は所得税は20%
- 医療費控除額20万円
- 所得税率20%
上記の場合は、20万円 × 20% = 4万円
医療費控除で4万円が帰ってきます。
医療費控除を受けるための手続き
医療費控除を申請するには、確定申告が必要です。以下の手順で申請を行いましょう。
医療費や交通費に関する領収書を年度ごとに整理して保管してください。
*確定申告で領収書の提出はしなくてよいです。
国税庁のウェブサイトから「医療費控除の明細書」をダウンロードし、必要事項を記入します。医療費の領収書は提出不要ですが、税務署から求められることがあるため、5年間保管が必要です。
結論:賢くNIPTを受けるために
NIPTは妊娠中の赤ちゃんの健康を確認するために重要な検査ですが、保険や医療費控除が使えないため、高額な費用負担が妊婦さんやその家族にとって大きな課題となっています。
しかし、以下の方法でNIPTを安く受けることができます。
- 費用が安い施設を選ぶ
- 検査項目の内訳を確認する
- 検査項目を絞る
- 交通費を考慮して施設を選ぶ
- クレジットカードでポイントを貯める
NIPTは費用面でのハードルがある一方で、赤ちゃんの健康を確認する上でとても有益な検査です。保険や控除が使えない現状を理解し、今回ご紹介した費用負担を軽減する方法を取り入れながら、安心して検査を受けてください。
NIPTをお得に受けるには「情報収集」と「計画的な準備」が何よりも大切です。妊婦さんとそのご家族が納得して検査を受けられるよう、本記事が役立てば幸いです。
都道府県別にNIPT施設の料金や診療日、検査項目をまとめた下記の記事が参考になります。
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