NIPTは妊婦さんの採血でダウン症候群など胎児の先天性疾患(生まれつきの病気)があるかわかる精度の高い検査です。
NIPT(新型出生前診断)を受けたいけど、ダウン症候群以外に何がわかるか、料金はどのくらいかかるか、陽性だったらどうしたらいいか、気になることがありませんか?
学会認定NIPTカウンセラーのなっちが、NIPTについてわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- NIPTでわかる病気の種類
- NIPTを受ける流れ(予約から陽性の場合の対応)
- NIPTを受ける病院の違い(認可施設/無認可施設)
- NIPTをおすすめな人/おすすめしない人
この記事を書いた人
- 助産師&学会認定NIPTカウンセラー
- 500組以上のカップルにNIPTカウンセリングを実施
- 2児の母
NIPT(新型出生前診断)とは
NIPTはNonInvasive Prenatal Testing(無侵襲的出生前遺伝学的検査)の略です。
- 赤ちゃんに流産などのリスクなく(無侵襲的)、
- 妊娠中(出生前)に
- 先天性疾患がないか知るべる検査(遺伝学的検査)
日本では2013年にNIPTが始まり、新型出生前診断とも呼ばれます。
NIPTのメリット:検査方法は採血のみで検査精度が高い
母体の血液には胎児のDNAが含まれます。妊婦さんを採血し、それぞれの染色体の量の変化を比較することで胎児の染色体疾患のリスクがわかります。
NIPTの一番のメリットは、赤ちゃんに危険がなく精度の高い検査ができることです。
検査の種類 | NIPT | 羊水検査 | クアトロ検査 |
ダウン症候群の検出率 | 99% | 100% | 80% |
流産率 | 0% | 0.3% | 0% |
羊水検査は検査精度が高いけどお腹に針を刺すため、流産のリスクが1/300の確率であります。
クアトロ検査はNIPTと同じく妊婦さんの採血だけで検査ができますが、検査精度はNIPTより低いです。
生まれてくる赤ちゃんの中で一番多い染色体の病気はダウン症候群です。赤ちゃんにリスクがなく妊娠中の漠然とした不安が解消されるため、NIPTを希望される妊婦さんは年々増えています。
NIPTのデメリット(注意点)
料金が高い
「妊娠中の不安が解消されるなら...高いけど検査します!」とNIPTを希望されるご夫婦が多いです。NIPTは10万円以上、病院によっては同じ検査にもかかわらず20万円するくらい検査料金が高いです。
NIPTの検査料金が高い理由は下記です。
NIPTの検査料金が高い理由を簡単にいうと、高度な技術だからです。また、自由診療なため価格設定は病院の自由です。病院によって検査精度は変わらないので、同じ検査をするなら料金の安いところを選びたいですね。
料金の安さで選ぶなら、13,18,21トリソミー+性染色体(性別判定)もわかって88,000円と日本最安値のラジュボークリニックがおすすめです。
確定診断ではない
NIPTは陰性的中率(陰性の結果が正しい確率)が99.99%と高いことで有名です。しかし、偽陽性率(陽性の結果が間違っている確率)は2.7%あります。
陽性の検査精度が100%でないためNIPTは確定診断ではありません。そのため、NIPTで陽性と言われた場合は確定診断(羊水検査や絨毛検査)が必要になります。
NIPTで調べられる疾患の種類
13,18,21トリソミーの3種類の先天性疾患のリスクがわかる
日本では、NIPTができる施設が認可施設と無認可施設の2種類あります。認可施設は学会が決めたルールや水準を守り承認された施設です。認可施設でできる検査内容は「13、18、21トリソミー」の3種類だけと学会がルールを決めました。
遺伝知識のある産婦人科医や小児科医と必ず連携が取れるため安心感が大きいのがメリットです。
性別や他の先天性疾患、微小欠失や遺伝子検査ができる病院もある
無認可施設の場合は学会の縛りがないため「13、18、21トリソミー」以外にも追加で調べられます。
認可施設で13、18、21トリソミー以外を調べない理由は、3つのトリソミー以外の染色体疾患は生まれにくいことや、検査精度が高くないこと、性別で生むかどうか判断してもいいのかといった倫理的理由があるからです。
ただ、海外では性染色体疾患(生殖機能に影響のある病気)については検査可能な国が多かったり、検査することで妊娠中の不安が減ったりするので、どの検査をするかは夫婦が自由に決めれればいいのになと思っています。
遺伝子検査まで調べたい人は女性院長で遺伝専門医がやっているミネルバクリニックがおすすめです
NIPTの進め方(認可施設と無認可施設の比較)
NIPTの予約から検査結果を受け取るまでの流れは、認可施設と無認可施設で変わるため比較して解説します。
予約方法
認可施設 | 無認可施設 | |
紹介状 | 必要 | 必要なし |
予約方法 | 通院施設から予約 | 自分で電話・メール予約 |
妊娠週数 | 9週- | 6週- |
診察日 | 少ない | 多い |
多くの認可施設では紹介状(診療情報提供書)が必須で、通院施設から予約をとってもらうケースが多いです。
認可施設で検査を希望する場合は、通院施設で「NIPTを受けたいです」といえば、NIPTを検査できる病院を教えてもらえるので、紹介状や予約手続きもスムーズに進みます。
ただし、NIPTは料金が病院によって差が大きく、診察日時も特定の曜日で固定されているケースが多いため、事前にある程度は調べておくことをおすすめします。
無認可施設の場合は紹介状は必要なく、希望の病院に電話かメールで予約します。当日検査できる病院も多いです。
地域ごとにNIPTを受けられる病院情報をまとめている記事はこちら
検査前カウンセリング
認可施設 | 無認可施設 | |
検査前カウンセリング | 必須 | 必須ではない |
方法 | 対面 | WEB/電話/対面 |
担当者 | 遺伝専門医/遺伝カウンセラー/産婦人科医 | 遺伝専門医/遺伝カウンセラー/産婦人科医 差が大きい |
料金 | 10,000円/時間 | 無料-10,000円/時間 |
夫の同席 | 必須 | 必須ではない |
認可施設では検査前の遺伝カウンセリングが必須です。遺伝の専門家である遺伝専門医や遺伝カウンセラー、もしくはNIPTに関する講習を受けた産婦人科医からNIPTについての説明を聞いたり、ご夫婦の思いを確認したりします。そのため夫も一緒に病院に行く必要があります。
無認可施設では検査前カウンセリングを行なっていない病院もあります。カウンセリングを行なっている施設でも、検査当日に病院で相談できる施設と、検査前までにオンラインや電話などでカウンセリングを行う施設があります。どちらのタイプか確認することが大切です。
NIPT検査
認可施設 | 無認可施設 | |
検査項目 | 13,18,21トリソミー | 13,18,21トリソミー 性染色体検査(性別判断) 全ての染色体の数の異常 微小欠失 遺伝子異常 |
検査日 | カウンセリングと 同日検査不可能の病院あり | 来院は採血の日のみ |
料金 | 高い | 安い |
NIPTは採血のみの検査です。認可施設では検査前カウンセリングと同日に検査できる病院が多いですが、あえて別日にしている病院もあります。その場合、検査結果も含めて最低3回病院に行く必要があります。
無認可施設では当日は採血だけの病院も多く、基本的に来院回数は1回ですみます。
結果返却(検査後カウンセリング)
認可施設 | 無認可施設 | |
返却方法 | 来院 | 郵送 |
返却日 | 採血から2週間後 | 最短2日 平均1週間 |
陽性の場合 | 羊水検査が同じ病院で受けられる 相談がしやすい | 羊水検査を受ける病院の紹介あり |
羊水検査の保証 | 診察料やカウンセリング料金が別途必要 | 全額保証あり |
認可施設ではNIPT検査から2週間後に予約来院することが多いです。検査が陰性の場合はもちろん妊娠継続すると思いますが、陽性の場合は羊水検査、もしくは絨毛検査で確定診断する必要があります。
無認可施設は検査結果が最短2日と認可施設より早い場合が多いです。検査結果もメールで届く病院が多いので来院回数が少ないのがメリットです。
もし陽性の場合は無料で24時間遺伝専門医と相談できる病院もありますが、基本的に無認可施設で確定診断は受けられません。確定診断を受けられる病院を紹介してくれる施設も多いため、相談して検査を受けましょう。
羊水検査を受ける場合は、羊水検査料金を含めて全額保証してくれる病院と、上限金額が決まっている病院、料金保証がない病院など施設によって羊水検査の補償内容が変わります。認可施設の場合は診察料やカウンセリング料金が別途必要な病院が多く、無認可施設では全額保証してくれる病院が多いです。
NIPTはいつからいつまで検査可能か
基本は妊娠9週から。妊娠6週から検査可能な病院もある
妊娠週数が進むほど赤ちゃんが成長し、妊婦の血液内の胎児DNAの量が増え、検査精度が上がります。病院により検査できる妊娠週数が変わりますが、認可施設では妊娠9-11週から検査可能な病院が多いです。
無認可施設では妊娠6週から検査可能な病院もあります。早くわかるほど不安な期間が短くてすみますが、検査精度が正しいか不安ですよね。
早く正確に検査をしたい人は、妊娠6週以降に追加料金なしで2回NIPTが受けられるDNA先端医療株式会社か平石クリニックがおすすめです。
基本は16週まで。物理的には何週でも可能
NIPTは物理的には妊娠何週でも検査可能で、後になるほど胎児DNAが増えるので検査精度は高いです。
しかし、NIPTの検査で陽性だった場合に妊娠中断を考えている人は、遅くとも妊娠16週までには検査を受けましょう。
日本では法律で妊娠21週6日まで中絶が可能とされています。NIPTが陽性の場合は羊水検査もしくは絨毛検査で確定診断します。
NIPTを受けてから羊水検査の結果まで約5週間かかるため、妊娠16週でNIPT検査すると確定診断まで終わるのが21週頃です。中絶は1日で終わるとは限らず、また考える時間も必要なため、やはり妊娠16週までにはNIPTは検査しておきたいですね。
NIPTの対象者は?誰が検査できるの?
NIPTは希望する妊婦さんは誰でも受けられます。2022年まで認可施設では出産予定日時点で35歳未満の妊婦さんのNIPTは基本的にできませんでした。そのため、35歳未満で検査を受けたい人は無認可施設へ行く人が多かったです。
年齢制限をつくった背景として、若い人ではNIPTの検査精度が低くなるからです。しかし、妊娠中の不安に年齢は関係ないこと、無認可施設に妊婦さんが流れていくことから認可施設でも現在は年齢制限なく検査が受けられます。
NIPTをおすすめしない人
妊婦健診で赤ちゃんの病気や異常を指摘された人や家系内に遺伝性疾患のある人はNIPTはおすすめしません。
NIPTは確定診断ではなく、先天性疾患の一部しかわかりません。そのため妊娠中に赤ちゃんの病気を疑われた人にはNIPT以外の胎児エコーや羊水検査、絨毛検査がおすすめです。
出生前診断は種類が多く、それぞれの検査の違いや自分たちに何が向いているか判断することは難しいため、NT肥厚(赤ちゃんの首のむくみ)など妊婦健診で病気を疑われた人は認可施設など遺伝の専門家のいる産婦人科医の遺伝カウンセリングで相談しましょう。
また、筋ジストロフィーや代謝異常症など、家系内で遺伝性疾患のリスクがある人はNIPTではわかりません。この場合もNIPTではなく、まず認可施設の遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。
NIPTをおすすめする人
妊婦健診で特に異常の指摘は受けていないけど、赤ちゃんにダウン症候群がないかなど漠然とした不安がある人にはNIPTはおすすめです。妊娠早期で受けられて赤ちゃんに流産のリスクもなく検査精度が高い検査だからです。
先天性疾患のリスクが少ないほど安心できる人は遺伝子検査まで受けられるミネルバクリニックがおすすめです。
まとめ:NIPTは不安のある人におすすめの検査
妊娠したら赤ちゃんが元気か心配になるのは誰にでも起こる自然な気持ちです。
赤ちゃんがダウン症じゃないかな..という不安がある人には心配が減り妊娠のストレスが軽減されるためNIPTはおすすめの検査です。
ただし、妊娠中に赤ちゃんの異常を指摘されたり家系内に遺伝性疾患のリスクがあるなど具体的な不安がある人は他の出生前診断が向いている可能性があります。
その場合は通院施設で相談し、遺伝カウンセリングがしっかり受けられる病院の受診をおすすめします。
生活圏内で受けられるNIPT病院を探したい人はこちらがおすすめです