11月になると、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種できるか相談されることが多いです。
結論として、妊娠中のインフルエンザワクチンはいつでも接種できるので安心してください。
今回は妊娠中にインフルエンザワクチンをどうして接種してよいのか、インフルエンザに妊娠中かかるとどんなリスクがあるのかなど妊娠とインフルエンザの関係をわかりやすく解説します。
妊娠中にインフルエンザにかかると大変なことは?
妊婦自体のリスク
インフルエンザにかかると急激な発熱(38度以上)、頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状が起きます。
多くの場合は治療しなくても1週間程度で回復します。
しかし、妊婦の場合、心肺機能や免疫機能に変化を起こし、重症化しやすいことが知られています。
妊娠前から呼吸器疾患などの基礎疾患がある人は特に注意が必要です。
もし妊娠中にインフルエンザになった場合、発症してから48時間以内の抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)を使えば重症化を予防できるため、早めに病院受診しましょう。
胎児のリスク
妊娠中にインフルエンザになっても、赤ちゃんが奇形など直接影響することはありません。
しかし、母胎環境が悪化する影響で、自然流産、早産、低出生体重児、胎児死亡の割合が増加します。
そのため、妊娠中はインフルエンザにかからない、もしくは重症化を予防することが大切です。
もしインフルエンザになった場合も、抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザ)は赤ちゃんに影響しないので安心して使ってください。
妊娠中のインフルエンザワクチンの接種のメリットは?
妊婦自身がインフルエンザの重症化を防ぎ流産など胎児への悪影響を避けるだけではなく、母体の免疫が胎盤を通して胎児の免疫力を高める効果があります。
実際に、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種することで、生後6ヶ月までの子どもがインフルエンザにかかる確率を63%まで減らせる報告がありました。
生後6ヶ月未満の子どもにはインフルエンザワクチンの接種ができないため、妊娠中のインフルエンザワクチン接種は妊婦と子どもの両方に利益がありますね
妊娠中にインフルエンザワクチンを接種してもいい妊娠週数は?
インフルエンザワクチンは病気の原因をなくした不活化ワクチンなため、胎児に影響することはありません。
実際に、インフルエンザワクチンによる胎児に悪い影響があったという報告もないです。
よって、妊娠中のどの時期でもインフルエンザワクチンは接種して大丈夫です。
ただ、器官形成期(胎児の体をつくる妊娠8週まで)や安定期(妊娠16週)を目安に独自に接種期間を設定している医師もいます。
妊娠中の状態にもよるため一度主治医と相談することをおすすめします。
妊娠中にインフルエンザワクチンを接種できない人はどういう人?
過去にインフルエンザワクチンを接種してアナフィラキシーショックを起こした人は接種できません。
インフルエンザワクチンのウイルスの培養に鶏の受精卵を使用しているため、卵アレルギーの人は腫れが強くなったり蕁麻疹が出たりと軽度のアレルギー反応が出ることがあるため注意が必要です。
しかし、卵アレルギーは絶対の禁忌ではなく、医師の判断で注意すれば接種可能なことが多いです。
インフルエンザワクチンは何月から接種するのが効果的か?
インフルエンザの流行シーズンは11月-3月です。
また、インフルエンザワクチンは効果が出るまで2-3週間かかり、その後3-4ヶ月間効果が続きます。
そのため、10-11月がインフルエンザワクチン接種に理想的な時期です。
また、病院でも10月頃からインフルエンザワクチンが入荷され予約が開始されるところが多いので、問い合わせてみましょう。
インフルエンザワクチンの主な副作用
インフルエンザワクチンの副作用は他のワクチンと比べて少ないです。
多い副作用として、10-20%の人が接種した場所の赤み、腫れ、痛みを感じていますが、通常2-3日でなくなります。
妊婦さんがインフルエンザワクチン接種できる場所はどこ?いくらかかる?
ワクチン接種できる場所
産婦人科だけではなく、内科クリニックなど、通常のインフルエンザワクチン接種が可能な病院ならどこでも接種できます。
しかし、インフルエンザワクチンの在庫に限りがあるため、事前予約のみ接種可能な病院も多いです。そのため、接種を希望する病院に予約が必要か確認することが大切です。
ワクチン接種の費用はいくらかかる?
インフルエンザワクチンは保険が使えない自費診療になります。
費用の目安は全額自己負担で3,000-5,000円と病院によって異なります。
妊婦の場合、独自の助成制度により自己負担額が少なくなる市町村もあるため、一度ホームページで確認することをおすすめします。
妊娠中のインフルエンザワクチンの接種で注意すること
接種する前の体調の注意点
- 発熱(37.5度以上)
- 風邪など現在体調不良
体調が悪いときはインフルエンザワクチンを接種することができません。
事前に予約している場合はキャンセルしましょう。
接種後の過ごし方
インフルエンザワクチンは副作用が少ないですが、接種後30分は急な副反応が起きる可能性があります。
入浴はしても大丈夫ですが、接種した場所は強くこすらないでください。
また、副反応の多くは接種後24時間以内に起きるので、この間は特に体調に気をつけ、激しい運動や大量の飲酒は避けましょう。
妊娠中のインフルエンザワクチン接種のまとめ
妊娠中のインフルエンザワクチンの接種は強くすすめられています。
体調に気をつけて、自分も赤ちゃんも守りましょう。